ラグビーワールドカップ2019観戦の旅

2019ラグビーワールドカップ日本大会を、おそらく世界最高レベルでたくさん観戦する予定の私が、自らの記録の意味も含めて運営しております。

南アフリカ−イタリア1004

49🇿🇦vs🇮🇹3

@小笠山総合運動公園エコパスタジアム

 

今日の試合のテーマは「ジャパンは決勝進出できるか」です。
とはいえまだ予選プールは中盤。「決勝」って、ベスト8のチームが残る「決勝トーナメント」のことだよね、と思った皆様。違います。ここで言う「決勝」はワールドカップ全48試合の最後の試合。勝ったチームがウェブ・エリスカップを獲得できるという、本当に最後の決勝戦のことです。


どういうことか。南アフリカとイタリアの両チームはプールBに所属しており、ここには優勝候補の最右翼、ニュージーランドが同居しています。南アフリカは開幕2日目にニュージーランドに破れており、今日の試合はおそらくプールBの2位争いの試合となります。
一方のジャパンはプールAに所属していて、東京でロシア、静岡でアイルランドを破ったため、現在プールA首位です。まだあと2試合を残しており、長年のライバルであるスコットランドとの最終戦が終わるまで、首位どころか2位までに入って決勝トーナメントに進出することすら、まだまだ決まってはいません、が、私は十分に1位通過の可能性があると思っています。そして、1位通過の場合、ベスト8の対戦相手はプールBの2位チーム。つまり今日の両チームの勝者の可能性が高いのです。
ちなみに、その次のベスト4、準決勝の対戦相手はプールCの2位と、プールDの1位の勝者。これはおそらくフランスとウェールズです。ジャパンは2013年6月には、秩父宮レッドドラゴンを倒しており(23-8)。2017年11月には、レ・ブルーとパリで引き分けています(23-23)。つまり、どちらも勝てない相手ではありません。そしてイタリアには2018年6月に、大分で勝っていますし(34-17)、南アフリカとのワールドカップにおける勝率は100%、ということを総合的に考えると、ジャパンの決勝戦進出を占う一戦ということになるのです。もちろん、強豪南アフリカが格上ということになりますが、イタリアも6カ国対抗で鍛えられており、ときどきアップセットをやったりしますので油断できません。


試合のことを。
この試合、大変珍しいことが起こりました。まずは前半1分、イタリア3番シモーネ・フェラーリが怪我で交代します。さらに、交代で入った18番マルコ・リッチオーニも前半18分に負傷退場。代わりに17番ニコラ・クアーリョが入りますが、おそらく彼はルースヘッドプロップの選手ですので、イタリアにはタイトヘッドプロップの訓練を受けた選手がいなくなりました。こういう場合、安全にスクラムを組むことができないため、以後のスクラムは全てノーコンテスト、双方ともに押し合うことができなくなります。 このことは会場では特に誰も説明してくれないので、その後、何回かスクラムが発生すると周りの人たちからも「あれ、なんで両チーム共いい加減にスクラム組んでるんだろう」という声が聞こえるようになりました。
この現象、人数が少ない高校ラグビーなんかでは時々あるのですが、わたしワールドカップでは初めて見ました。しかも前半18分から残りずっとノーコンテストですから、両チーム共戦術の見直しを迫られることになったことでしょう。特に、南アフリカの方がスクラムが優勢だと考えられるので、スクラムでプレッシャーをかけ、あわよくばペナルティを取るという戦術が取れなくなるというのは結構な誤算だと思いました。
ノーコンテストにしてしまったことについて、イタリアは特になにも不利益を被ることはありません。そうだとすると、スクラムが弱いチームはさっさとノーコンテストにしてしまえば良いんじゃないか、と思ったり思わなかったり…。
しかもこの話には続きがありまして、前半42分、代わりの代わりである17番ニコラ・クアーリョと、1番アンドレア・ロボッティの2人が、南アフリカの8番ドウェイン・フェルミューレンを一緒に抱え上げ、頭から落としてしまいます。しかもほぼプレーと関係ないところでやってしまった「愚行」であり、TMOの結果ロボッティは一発レッドカード。
※この時はお咎めなしだった17番クアーリョも、試合後にレフェリーコミッティの裁定により、ロボッティとともに3試合出場停止の処分を受けました。
つまり、この試合に出たイタリア代表のプロップ4選手は全員いなくなってしまったのです。次の試合、イタリアはスクラム組めるのかな?


こんなこともあり、イタリアは自滅により、元々少なかったアップセットの可能性をほぼゼロまで下げてしまいました。南アフリカは、14チェスリン・コルビが鋭く走って2トライのほか、合計7トライの完勝です。


そして、今日の試合のテーマであるところの、ジャパン決勝戦進出の可能性ですが、やはり並大抵のことではないということが分かりました。南アフリカの強さは強靭なフィジカルだけでなく、鉄壁のディフェンスにあると思います。これをなんらかの形で破らなければなりません。
とはいえ、その舞台に立つためには、明日のサモア戦、そしてプール戦最終日、因縁のスコットランド戦です。ひとつひとつ、登っていってほしいです。

 

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