ラグビーワールドカップ2019観戦の旅

2019ラグビーワールドカップ日本大会を、おそらく世界最高レベルでたくさん観戦する予定の私が、自らの記録の意味も含めて運営しております。

フィジー-ウルグアイ0925

27🇫🇯vs🇺🇾30

@釜石鵜住居復興スタジアム

 

対戦相手にトライをされた時、トライを許してしまったチームがインゴールでどのような振る舞いをするか、ここに着目すると、チームの雰囲気が分かるような気がしています。全員が一つに固まって次のプレーの確認をしているチームは間違いなく良いチーム。そこで中心になって話している選手はリーダーに違いありません。トライの原因になってしまったプレーをした選手が仲間に謝っていて、それを仲間たちが心から受け入れているチーム、これも正しい。
一方で、華麗なステップを武器とするエースランナーが、俺は関係ねえぜ、という顔をしているチーム、ちょっと不安になります。真剣にミーティングをしている人達の隣で、キックチャージに向かう選手がいるチーム、意思疎通は大丈夫か?


この日、ウルグアイ代表は明らかに格上とされたフィジー代表を相手に大金星をあげました。1年前には大差で負けている相手に、ワールドカップの場で勝ったのです。


この日、釜石鵜住居に集まった1万4000人の観客のほとんどは、釜石という日本ラグビーにとって特別な地でワールドカップを見たい、復興の実感を得たい、そしてフライングフィジアンズの華麗なマジックを見たい、こんな目的で来場したのではないでしょうか。私もそうです。特に、オーストラリアを震撼させたフィジー両ウイングの爆発的な走力を目の当たりにすることが、私の第一の目的でした。
正直、ウルグアイの勝利は期待していませんでした。


しかし、この日の釜石では、アップセットが完成する条件が充足されていました。
一つ、「格下」チームの周到な準備。ウルグアイ代表がこの試合にターゲットを絞って来たのは明らかでした。特に注目すべきは上半身を狙った高めのタックル。フィジー代表の各選手の強靭なフィジカルを想定すると、できればタックルに行きたくない、でもどうしても行かなければいけないなら、せめて太い腕を掻い潜るような低いタックルで、と考えがちです。ですがこの日のウルグアイ代表は勇気を持って高めのタックルを徹底しました。当然、弾き飛ばされる人も出ますが、このタックルが成功するときフィジーの選手は自由なボールのコントロールを失い、マジックのようなオフロードパスは封印されました。
二つ、「格下」チームがタックルの雨を降らせるような守りの展開。上述のような守備戦術を採ることにより、うまくいかずに弾き飛ばされる人も出ますが、ウルグアイ代表はそれでも構わずタックルの数で勝負しました。試合全体でのタックル数はフィジーの95に対し、ウルグアイは181。ほぼ倍の矢を放ちました。ミスタックルも倍以上ですが、構わずに入り続けたことが奏功しています。
最後は幸運。この日、フィジー代表は通常であれば入れるべきゴールキックを3本外しました。この日ワールドカップ初戦でフレッシュなウルグアイに対して、フィジーはオーストラリアとの激闘後地獄の中3日だったことも影響しているはずです。後半、左サイドを攻めたフィジーは人数にして3対1の絶好のチャンスを作るも、パスが唯一追ってきたウルグアイ選手の胸に入るというプレーもありました。ラグビーの神様が、ここ釜石をブライトンにしようとしているようでした。


試合時間終了の銅羅が鳴ったとき、スコアは30-22、ウルグアイが8点リードしていました。もうどうやってもフィジーの逆転はなくなりましまが、フィジー代表は最後まで攻め続け、21番ニコラ・マタワル選手がトライを返しました。30-27。残すはトライ後のコンバージョンキックだけですが、これが入ってもフィジー代表は追いつけませんし、勝ち点についても、このゴールの成否は関係ありません。しかし、ウルグアイ代表選手たちは全員がトライライン上に横一列で並び、キッカーの22番、本来は10番を付けているべきベン・ヴォラヴォラ選手が動き出すと同時に全員で猛然とキックチャージを敢行します。顔には充実の笑み。チャージのために伸ばした両腕は、そのまま勝利のガッツポーズになりました。ウルグアイ代表、良いチームに決まっています。

 

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