ラグビーワールドカップ2019観戦の旅

2019ラグビーワールドカップ日本大会を、おそらく世界最高レベルでたくさん観戦する予定の私が、自らの記録の意味も含めて運営しております。

フィジー−ジョージア1003

45🇫🇯vs🇬🇪10

@花園ラグビー場

 

「フライングフィジアンズ」

フィジー代表の愛称です。フィジアンマジックと呼ばれる、ラグビーの常識に捉われない奇想天外なパス回しと見事なハンドリングはフィジー代表の特徴であり、セットプレーや組織力より個人のスキルが要求される“セブンズ”では無類の強さを発揮します。魔法の基礎となるのは、小さい頃から裸足で楕円球に慣れ親しんだことによるハンドリングスキル。リオデジャネイロオリンピック7人制ラグビーでは初のゴールドメダリストになりました(しかも、これはフィジーが個人、団体を問わず初めて獲得した金メダルで、獲得した日はフィジーでは国民の休日になっています。)。しかし、そんな島国の人たちが、釜石でマホトーンをかけられたのが約1週間前。果たして今日は飛ぶことができるのでしょうか。
一方のジョージア。旧ソビエト連邦から独立を果たした小国ですが、ラグビーは強く、日本やパシフィックネイションズの各国と共に「ティア2」の一角を形成しています。派手な個人技はありませんが強固なスクラムを中心としたセットプレーと固いディフェンスでロースコアの展開に持ち込むことを得意とするスタイルで、6カ国対抗参加国(英4カ国、仏、伊)以外の欧州ラグビーを牽引する存在です。また日本代表とは重要な局面で度々テストマッチを行なっており、私の印象としては「一緒に強くなってきた仲間」。HOジャバ・ブレクバゼがサンウルブズで活躍したこともあり、近しい存在として応援しています。
この、対照的なスタイルを持つ両国が、高校ラグビーの聖地花園ラグビー場相見える、こんなにワクワクする試合はありません。どちらもティア1の強豪ではなく、大分からの連戦で、平日昼間の試合であるとしても、私は迷いなく観戦を決めました。
試合の話も少し。開始前から降り始めた雨は、時折強くなったり、と思ったら晴れ間が見えたり、不安定な様子です。スリッピーな環境は、セットプレーと堅実なスタイルのジョージアに有利、マジックを封じられる可能性のあるフィジーに不利、かと思いました。しかし今のフィジーは、かつてのようなハンドリングスキル、ランニングスキル頼りのチームではありません。前半、セットプレーや組織的ディフェンスに難があるという、長年言われ続けた弱点を見事に埋めるようなプレーを見せます。スクラムも、藤島大氏が「スクラメイジャー製造工場」と評したジョージアに負けず、時には押し返すシーンすら見られました。そして後半、晴れ間が見え始めたころから、フィジーが飛びはじめます。素晴らしいハンドリングスキル、ランニングスキルの連発。グラウンドを縦横無尽に走り回り、どこからでもパスが繋がる。まさにマジックを見ることができました。特に両ウイング、11番セミ・ランドランドラと14番ジョシュア・トゥイソバのランニングはセブンズを彷彿させるものでした。今大会のフィジーは、持ち味の自由奔放なラグビーに加えて、組織的な規律も整っており、とても魅力的なチームです。その分、ウルグアイに負けた第2戦がとても痛いのですが、きっと来週は大分で、ウェールズと好試合を繰り広げてくれると思います。

帰り際、ラグビー場から東花園駅に向かう途中の一本道で、地元のおっちゃん(きっともういい感じにアルコールを摂取している)がジョージアの旗を背負った一角を見つけ「ジョージア、グッドグッドゲーム、ネクスト、ウィン!(そのまま、カタカナで発音していました。)」と声をかけていました。力なく手を挙げたジョージア人に「ところで、ネクスト、どこのカントリー?(同じく、そのまま。)」と聞くと、ちょっと迷って「Australia.」と答えます。おっちゃん「オーーー、ノーーー。うん、でもきっとウィンやで!(同)」。ここも、ワールドカップが包含するファンゾーンのひとつだと思いました。

 

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